牛久市/牛久市教育委員会(2021年9月3日号)

一人残らず質の高い学びを保障する
「学びの共同体」づくり

小学校で2020年度から実施(じっし)されている新学習指導要領のキーワードの一つが「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」だが、牛久市では10年ほど前から全小中義務教育学校で同様のスタイルである「協働的な学び」による授業づくりを行ってきた。「一人残らず質の高い学びを保障する」ために、「学びの共同体」の学校改革に取り組んできた背景や思いについて、染谷教育長に話をうかがった。

子どもが子どもを変える「協働的な学び」
「授業中にねている子や教室をぬけ出してしまう子など、いわゆる『困った子』をどうしたら助けてあげられるか、と考えたのがそもそもの始まり」と話す教育長。先生たちの手をわずらわせる子は、実は最も助けを必要としている子どもたち。手を差しのべてあげたいが、方法が分からなかったという。そんなときに出合ったのが東京大学の佐藤学名誉教授が提唱する「学びの共同体」という考え方。「子どもを学ばせる力があるのは子ども、子どもを変えることができるのも子ども、という考え方にふれ、なるほどと思った。子ども同士学び合うことで絆(きずな)も深まり、困った子もクラスの一員になれると考え、協働的な学びの授業を始めた」という。
だれもが「わからない」課題で学び合う
協働的な学びの基本は友達に「教えて」と言うこと。「教えて」と言われた側は、相手が納得できるような文脈で説明することでより理解を深め、教えてもらう側も一生けん命理解しようとする。さらに高いレベルの課題を用意して、だれもが「わからない」ところからスタートし、ペアやグループで答えを見つけていく協働的な学びで、みんなが意欲的に取り組むことができ、全体として学力向上につながっていく。「わからない」という弱さでつながっているため、だれも落ちこぼれることなく授業に参加し、「一人ひとりの学び」が成立するという。
また、協働的な学びで重要なのは「きき合う」関係を作ること。相手の話を「聴(き)き」、相手に「訊(き)く」(問い返す)ことで養われたコミュニケーション力は、生きる力にもつながる。「わからない子は『教えて』と言えない子が多い。そんな子が『教えて』と言えるようになることで、将来困ったときに『教えて』『助けて』と言えるようになる。自立とは上手に人に依存(いぞん)することだということも知ってほしい」と教育長。
地域とともに「学びの共同体」
コミュニティスクールとして地域との連携(れんけい)に取り組んでいる牛久市では、保護者や市民も単なる学校支えんではなく、授業中の子どもの学びを観察したり、授業後のふり返りに参加したりしながら「子どもたちに何を学ばせるか」を考えている。そうした中で子どもたちは地域と共に学び合う。例えば中学校の総合的な学習では、市の職員と協力して「牛久PR作戦」のアイデアを提案したり、ふるさと納税で牛久市に寄付してもらうための方法や牛久シャトーの再生について、市や地域の人たちと意見を交わしたりしながら学んでいる。これからの時代を生きる子どもたちに求められている創造性や探究性、協働性を育むためにも、学校、保護者、地域が共に学び合う「学びの共同体」づくりに今後も取り組んでいくつもりだ。
最後に、「安心できる学校があり、そこには夢中になれる学びがある。すべての子どもたちにとって、学校をそのような場にしてあげたい」と教育長は熱く語った。

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